さて、3回に渡って御紹介してきたブラックスプロイテーションの人気作『SHAFT』も今回が大トリ!シリーズ3作目となる『Shaft in Africa』です。 全2作を監督してきたGordon Parksから監督が交代、新しくメガホンを取ることになったのはJohn Guillermin…な、なんでやねん(笑)。アフロアメリカンの憧れとしてスクリーンで活躍する“SHAFT”は、同時にブラックスプロイテーションが生んだ最高のヒーローの1人である事は間違いないby長井。なのになんでココへ来て白人監督が? 人種的偏見ではないが、ただ単純に“ブラックスプロイテーションムービーなのに何故?”って思わないですか?John Guillerminといえば後に『THE TOWERING INFERNO』や『KING KONG』といった超メジャーアクションパニックを撮ることになる監督、そりゃ“オモロい大作”作らせたらバツグンなのかもしんないけど、ある意味ブラックスプロイテーションムービーってのは“大作的オモロさ”なんて必要ないと思うんだけどな~…なんてこの作品を初めて見た時はブ~たれてました(笑) フランスで1人のアフロアメリカンが組織によって拉致されたあげく殺害される事件から物語は始まる。私立探偵ジョン・シャフト(Richard Roundtree)は、アフリカ連合指導者であるラミラ(A.V. Falana )の手下に事務所で襲われ、これまた拉致られる(笑)。アジトでは素っ裸にされ棍棒を使っての格闘なんかもあるのだが、それはこれから起こりうる困難をクリアする為のテスト。結局はフランスで殺された青年が、このラミラの息子であった為、“黒人奴隷”になりすまし人身売買のルートを暴くという依頼をされる。捜査を始めエチオピアに向かうシャフトであったが、途中経由地であるフランスの空港トイレで襲撃を受ける。ラミラの側近であるワッサ(Debebe Eshetu )が組織と関係があったのだ。なんとかアジスアベバに入ったシャフトであったが… アフリカに入ると同時にいきなりライオンがいたり、民族衣装っぽいチープな服装に裸足で丸腰だったり、誰のものかもわかんない小屋でいきなり女と“やっちゃう”し、決闘は練習どおり武器が“棍棒”だし(笑)。こんな強引な演出やコテコテのストーリー展開は“流石シャフト!”と手を叩きたくなる痛快さ! たださ、いくら基本が“ブラックスプロイテーション物”だからといって「ほんじゃそろそろ舞台アフリカにしてみようか?」や「奴隷って設定どうよ?」みたいな話になったのかならなかったのか知らないけど…あまりに安易じゃない?だから3作も作られてる人気シリーズなのに、なにかにつけて“クラシック”と賛辞を得るのはオリジナルの『SHAFT』だけなんだよ。 ある意味“ブラックスプロイテーション・バブル”とでも言うか、良くも悪くも人気がうなぎのぼりになると比例して予算なども大きくなり、“本拠地”であるNYから海外へ撮影の場を移す作品も多数存在する。そしてこの『SHAFT IN AFRICA』もその名の通りアフリカはもちろん、フランスにまでロケを敢行してるんだけど… これは個人的な意見になるが、ブラックスプロイテーションムービーってのは、現在のブラックムービーの何倍も“これぞ!”ってカラーが大きいからこその作品という感じが強いんですよね。もちろん映画だから“こうでなくちゃいけない!”なんてルールはない。だけど、“ブラックスプロイテーション”という造語の意味や、この時代こういったムーヴメントが人々から支持を受けたというバックボーンなんかを考えると、大金使って“外”に出ていく必要なんてあったのかな~なんてね。 それに、こういった流れってのは必ずおいしいマーケットに興味を示してきた“大手”や“白人”が絡むことによって増えているのも事実。いや、これは決して差別的な言い方ではなく、本来ブラックスプロイテーションって“誰が、何のために、どんな風に”こしらえていた映画だったのかって事に立ち返る必要があったんじゃないかなって思うんです。 紹介する側として、あ~だこ~だ難癖付けてきましたが、それでも俺はこの“SHAFT”シリーズ、3本とも大好きなんですよ。本来ブラックスプロイテーションムービーって、この3日間で綴ってきた事なんて度外視した部分で率直に楽しんでこそ!だと思うんで(笑)
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テーマ:ブラックムービー(黒人映画) - ジャンル:映画